先日、KAAT EXHIBITION 2022「鬼頭健吾展 | Lines」(個展についての詳細記事はこちら:https://www.nk-kizai.co.jp/news-kaatexhibition2022-lines/)にて作品の素材に日本化工機材の「角紙管」を使用してくださった美術家の鬼頭健吾様に、今回使用いただいた経緯や、ご感想について伺いました。

 

写真 :鬼頭健吾様 撮影者:藤山誠(Makoto Fujiyama)

写真 :鬼頭健吾様 撮影者:藤山誠(Makoto Fujiyama)

 

Q:今回どのような経緯で、作品に弊社の角紙管をご使用いただいたのか教えてください。

鬼頭様:今回、角紙管を200本以上吊るした作品を制作したんですが、もともと僕は角材でやろうと思っていたんです。
ところが、「角材を吊るしたい」という話をしたら「危ない」と言われてしまいました。会場は天井高が30メートル近くあるんで、もし切れた場合に大変だし、なおかつ今思うと重量が角材だと凄いことになるので、そりゃそうかと思いました。
では素材を探そうとなった時に、紙管は勿論頭にあったんですけど、丸いもののイメージが強かったので、まさか角型のものがあるとは知らなかったんですよね。
たまたまスタッフの方が見つけてきてくださり、「こういうものありますよ」って言われたんです。これはすごいベストだなって、作品のイメージとして角材を使うよりはるかに良かった。角材だと歪んだり、多少ひねったりするので、あんなに真っ直ぐはいかなかったと思ってます。

KAAT EXHIBITION 2022「鬼頭健吾展|Lines」 撮影:木暮伸也(Shinya Kigure)

KAAT EXHIBITION 2022「鬼頭健吾展|Lines」 撮影:木暮伸也(Shinya Kigure)

 

Q:元々、角型の素材を探されていたんですか。

鬼頭様:なぜ角型にしたかったのかと言うと「影」を出したかったんですよね。それには、丸よりは角型の方が多分良いだろうなぁと、そして、丸いとどうしてもすぐに紙管だとわかってしまうので、上下を閉じて、どういう素材か分からないものにしたかったっていうのがあります。「あれは重いのか軽いのかどうなんだろう」という風にみせたかったんです。
今回の場所(神奈川芸術劇場アトリウム)は、周りがレンガだったり赤いので、そもそも場所自体の印象が強く、真っ直ぐな線でどう空間を作るかっていうのを考えていました。そういう意味では、角紙管はピッタリの素材でしたね。

 

Q:改めて弊社の角紙管を知っていただき、何か「気づき」のようなものはありましたか。

鬼頭様:あれだけまっすぐ精度が出るっていうのは良いなと思いました。そこはやっぱり、他の素材では中々難しいと思うので。アクリルとかだと重いですしね。
紙の貼り方も良かったですね。紙管によくあるくるくるという感じではなく、目地というか継ぎ目がない分、塗装もすごく楽だったし、きれいにできました。
僕らは、わりと紙管を使ってるんです。中に何か入れたり、輸送もそうですし。ボイド管なんかも使います。
また、更に内径や長さが大きいサイズのものもあると聞いてるので、そういう素材を知ると作品の幅も広がりますし、こういう素材あるといけるなぁとか、色々考えられるようになるので、すごい良かったです。
あと、今回気づいたこと、穴あけ。結構丈夫だったので、中に一部木を入れてるんですけど、擦れることなくうまくいきました。

KAAT EXHIBITION 2022「鬼頭健吾展|Lines」 撮影:木暮伸也(Shinya Kigure)

KAAT EXHIBITION 2022「鬼頭健吾展|Lines」 撮影:木暮伸也(Shinya Kigure)

 

Q:今後また角紙管を鬼頭様の作品の素材として選んでいただけるとすると、新たに期待する面などはありますか。

鬼頭様:そうですね。順番としては、作品のアイデアから作品の素材を選ぶことが多いので、いますぐどうのっていうのはなかなか難しいですね。ただ、今回の作品はかなり評判が良かったので、また同じような形態のもので、オファーは頂けるんじゃないかと思ってます。
実際いま、一件頂いているので、また同じものを使うのか、また新しく作るのか、ちょっと分からないですけどね。新しく作るときはお願いします。

 

Q:最後に、今回芸術との繋がりという観点では、弊社も初めての試みでしたが、これからの紙と芸術の未来、可能性について鬼頭様のお考えをお聞かせください。

鬼頭様:単純に御社の角紙管は素材として軽いので、ああいう天井高のある空間を占有するとか、そこでインスタレーション作品を作ってほしいっていうオファーがあるときには、非常に使いやすいと思います。今までは、軽い素材というとフラフープを使用することが多かったんですが、軽くて丈夫、形が崩れないという意味では、選択肢が広がりました。加工もしやすいので、僕にとってはインスタレーションするにはもってこいの素材でしたね。今回のような大きな空間を使うには、すごく良いかなと思います。やっぱり重さとか扱いの悪さっていうのは、単純に作業のコストもすごくかかるので。
また、安全面がある程度確保されているっていうのは大きいです。公共の場所で安全、何があっても、例えあれが切れたとしても、ケガするかもしれないけど、死にはしないだろうっていう安心感は大きかったです。やはり芸術作品を通しての事故は、作業中も含めありますので、そういうリスクがゼロではないにしろ、かなり低いという意味では本当にいい。
また、色も塗れるし。いろんな意味で可能性を感じますね。
あと、美術館や公共の場所でGOが出やすい素材だなと感じます。「この素材使えません。だめです。」ていうのも当然ですけど多いので。
多方面から見て可能性はあると思います。あとは、他のアーティストのみなさんが角紙管の存在に気づくかどうかですね。

それから、単純な子供の玩具みたいなものでも使えるのかなと思いました。色を塗って切れますよとか、子供向けワークショップのようなものもできそうですね。多分、丸よりも角の方が積み木のような感じで作りやすいし、組み合わせやすいので。サイズも幅広くありますし、そういうキットにしたら売れそうですよね。丸はよくありますが、角型はあまりないので、アイディアは色々わきそうです。

 

最後に
今回、鬼頭様というアーティストの方に角紙管を見つけていただき、弊社としても角紙管のさらなる可能性に気づくことができました。

鬼頭様、お忙しい中インタビューにご協力くださり、また、素晴らしい経験をありがとうございました。

 

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